おしゃべりA            


                  
                 夫の癖

 
♪ 上を向いて 歩こう 涙が・・・・・・♪♪♪

人生は1度っきり。
出来ることなら明るく、上を向いて歩きたいものである。

ところがうちの夫は、下を向いて歩く癖がある。
当然ながら、後姿がとても暗〜い。

私が、「もう少し上を向いて歩いたら…!」と言うと、
「上にはなんにも落ちてない!」と答える人である。

私達は、朝夕2回、愛犬を一匹ずつ連れて散歩に出かける。
その間、夫の目線はますます下がる。小さいガラスの破片や釘などを
拾って歩く。
裸足で歩く犬たちにとって、道路は危険が一杯だ。
安全確認に忙しい夫の後から、私は気楽に鼻歌歌ってついて行く。

夫は最近、小さい命を以前にましていとおしく感じるようになってきた。
雨上がりの道に、ノコノコ出てきたカエルやバッタ・ミミズまで、素手で
捕まえては草むらに戻してやる。

車にひかれた犬・猫の死骸を葬ったのも、2度や3度ではない。
人様には”変人”に見えるかも知れないが、私には”神様”に見える。

数日前、散歩をしていたときのこと。
前を行く夫が、立ち止まって何か見ている。
”何でも拾わないで…”
と、私が言うのも聞かず拾い上げた。
それは小さなビニール袋だった。

見ると、2枚の宝くじと、紙切れが入っている。
なんと、”2等 当たり券在中”と書いてあるではないか!!!

 ”これは神様からのプレゼントかも知れない♪”

急に動悸が激しくなった。
夫が、「警察に届けようか?」 と言う。
が、私は、日頃夫と夢見ている"動物の楽園”や”マイホーム"のこと
ばかり頭をよぎる。

早足で家に帰ると、押し入れから一月前の新聞を取り出した。

「ウ・・・・・・・・ッ!」

番号は見事に外れ。
まったく人騒がせな宝くじである。

おまけ
警察に届けようか、それともゴミ箱に捨てようか、まだ思案中で〜す。
夫が、「今度こそ当てるぞ〜!」と言って、また”宝くじ”を買ってきました。
相変わらず、おんなじ夢を見ている私達なのです。
それに近頃、下を向いて歩く癖、伝染したみたいで〜す。 §^。^§

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