おしゃべりB              


                 
                歯医者嫌い

”ルルルルル〜〜〜!”
電話のベルが鳴る。
あわててうがいを済ませ、受話器を取った。
「また歯磨き?」
受話器の向こうで姉の声がした。

続いてかかった母からも、
「また歯磨き?」 ・・・
どうやら私の行動は、お見通しのようである。

私は歯医者が大嫌いだ。
正確には”痛みを伴う治療をする歯医者さんが大嫌い”である。
もっとも、痛い治療の好きな人などいるはずもないが・・・。

できるなら、行かずに事を済ませたい。歯ブラシを持つ手に力がこもり、電話のベルでケリを付けられることにもなる。

そんなことで、少々の痛みは”ケロリン”(富山の入れ薬)を飲んで我慢をする。症状がかなり進み、いたしかたなく、歯医者さんへと駆け込む。

悪循環の末、とうとう来る所まで来てしまった。
ん〜歳の坂を越えたばかりと言うのに、”グラグラ”揺れている。これでは”両脇を支えられた、爪先立ちのバレリーナ”である。
このぶんだと、総入れ歯になる日もそう遠くはなさそうだ。

”いま一度、大人の歯が生え変わる・・・”な〜んて朗報はないものか?

意を決し、歯医者さんへと出かけた。
今日は、愛犬チャチャも、歯の治療に行っている。
口を”あ〜ん”と開けたまま、チャチャのことを考えていた。

”ズキン!”・・・痛みがはしる。
おもわずハンカチを握り締めた。
”お疲れさまでした〜!” やさしい声にようやく深呼吸。
110円の治療代を払い、次回の予約をさせられた。(*_*)

夕方、病院へチャチャを迎えに行く。全身麻酔で歯石と小さなニキビを取ってもらい、しめて2万円なり〜。動物たちにも健康保険があったら・・・とつくづく思う。
”犬にも歯医者さん?”と言われるかもしれないが、健康な歯で長生きして欲しい・・・という親心である。

犬たちは、今夜も液体歯磨きを付けてやると、それぞれの寝床へ向かった。
私も、入念に今日最後の歯磨きをした。
もうしばらくは、”瀕死のバレリーナ”に頑張ってもらわねば。。。         
戻る
inserted by FC2 system