橋の下の住人 |
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ホームレスが、事件に巻き込まれたというニュースが後を断たない 。 仕事も家もない彼らに、明るい未来があるのだろうか・・・・・? な〜んて、おかたい話じゃ〜ありません。 私の身近にいる、ホームレスのおじさんのお話です。 |
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おじさんに初めて会ったのは、2年位前のこと。 ガード下の、ダンボールの山から首を出し、まるで生き埋めのようだった。 |
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1年前には、家の近くの橋の下に引っ越してきた。 おじさんの年齢は不明、小柄な体格、黒 光りした顔、ベルト代わりの腰ひもを結び、頭にタオル鉢巻をしめている。 すれ違いさま”ニタッ”とする。自己防衛の愛想笑いか?、悪い人ではなさそうだ。 |
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私と夫は、犬の散歩の道すがら、なんとなく様子を伺うのが日課になった。 「カンカンカーン!」 何やら作業をしている音がする。煮炊きの煙が上がっていることもある。でも、おじさんはいつも1人ぼっち。 |
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身寄りはいないのか?、食べるものに不自由していないだろうか?、生活に必要な水は?お金は?年金は???・・・ 知りたいと思えば思うほど、わからないことが増えてくる。 目の前に川は流れているが、魚が住むには臭すぎる。 |
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年の瀬も押し迫った頃、夫と相談しておじさんに餅を贈ることにした。 「お正月に餅を食べてください」 と書いたメモを添えて、留守中のねぐらに置いた。言葉を交わしたこともないが、正月早々飢え死にはさせられない。 |
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寒風吹きすさぶ朝、橋の下に焚き火を囲む2人の姿があった。 ”おじさんに友達ができた!” 類は友を呼ぶというが、仲間同士支えあっているのかと思うと、なんだかうれしくなってきた。 |
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暖かくなると、おじさんは家財道具を少し残し、橋の下を出ていった。 またこの家へ戻ってくるだろうか・・・・・。 今日もまた、犬を連れた変な夫婦が、橋の下を覗き込んでいた。 |
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おまけ その後、町場でおじさんを見かけた。空き缶を一杯入れたビニール袋を下げ、自動販売機のつり銭口をチェックしていた。トレードマークのタオル鉢巻も勇ましい。 ”おじさんは、なかなかの働き者だったんだ〜!” おわり おまけのおまけ おじさんのことを母に話したところ、「おじさんは拾いなんなよ」と言いました。私は犬・猫しか拾いませんよ! あ、現金なら拾っちゃうけどね(^_-) 姉に話すと、 「おじさんはきっと”ばんばの忠太郎”だよ。 ♪軒下三寸借り受けまして〜♪〜♪〜 おっかさ〜ん!」 なんて歌ってました。 カラオケ大好きな姉ちゃんで、いつもマイクを取り合ってま〜す。 §^。^§ |